柏洋通信
2016.09.30
柏洋通信Vol.28
【「グラステック2016」に行ってきました。その1】(9/30)
9月19日から25日にかけて「日本ガラスびん協会」が主催する欧州視察ツアーが行われ、私も参加しました。
これはドイツのデュッセルドルフで20日から23日の日程で開催される「グラステック」に合わせて企画されたもので、 業界大手のトップも含む総勢17名が集まりました。「グラステック」とは2年毎に開催されるワールドワイドな見本市で、ガラスびん業界のみならず、 板ガラスも含む広くガラス産業全体を網羅する大規模なイベントです。ガラス製造機器・技術、溶解炉の設計・施工、各種耐火物、金型、検査器・制御技術などなど、 ガラスの最先端技術からこれからのトレンドに至るまで、今注目すべきガラスの全てに触れることのできる貴重な場として、 前回に引き続き若手の課長を伴い行ってきました。
某大手の技術部門のトップの方に言わせると、「今回のグラステックはわくわく感がないね。目新しい技術も少ないし」とのことですが、私たちにとってはどれも興味深いものばかり。今回私たちが注目したのは検査機でしたが、トレンドは複数のカメラを多角的に配置し、 ガラスびんに一切触れることなく360度検査するものでした。人工知能を駆使し、びん表面に印された模様や金型番号を、ガラスに練り込まれた異物や気泡、 ひびなどと区別して認識します。製品が替わるたび行わなければならない細かい調整作業も、大幅に自動化され時間短縮が図られています。
最新の製びん機械は各社がデモ機を持ち込んでアピールに余念がありません。サーボモーターで各部を駆動する機構は既にお馴染み。 いずれも安全性を重視したカバーが設置され、重量物である金型の交換作業を補助するクレーンが標準装備されているものも見受けられました。 さらにはカメラとセンサーがセットされ、カメラで金型の任意の部分にフォーカスして温度を測定する機構など、作業員の安全と負担を軽減する傾向が益々顕著です。年々自動化が進んできた製びん工程ですが、金型に離型剤を塗る塗油作業は未だ人手が主流です。塗油作業とは単なる金型からガラスを離れやすくするためだけではなく、 各種欠点を修正する役割もあり、作業員の技量の見せどころでもあったのです。これまでも様々な形で自動化が試されてきたものの、結果は今一つでした。そうした永遠の課題が、人間の動きを模したロボット化で変わろうとしています。既にヨーロッパでは導入実績があるとのこと。日本の大手でも検討中だそうですから、ガラスびんの製造現場の風景が大きく変わるのも時間の問題かもしれません。
「グラステック」のような世界的なイベントともなれば、世界経済の現況を映す鏡の役目も果たすものです。毎回参加している方の感想を聞くと、 「今回は中国企業の出展が少なかったし、出展企業も展示規模は縮小しているね。中国や中東からのお客さんの数もずいぶん減ったようだ」と。中国経済の減速と、原油価格の低迷による影響がもろに出ていると言えるのではないでしょうか。それに比べて日本からの出展企業も増えたし、参加者も多かったとの声も聞かれます。とはいえ、それが必ずしも日本のガラス産業の復興を示すものと言い切れないところに、問題の根の深さがあるのだと思います。
七島 徹
2016.09.15
柏洋通信Vol.27
【「食の大商談会」に行ってきました。】(9/15)
9月2日、池袋のサンシャインシティで開催された「食の大商談会」に行ってきました。このイベントは北海道と九州の金融機関が主催するもので、フーデックスや食品開発展ほどの規模はありませんが、 北海道と九州(主に鹿児島が中心)の選りすぐりの食品メーカーが集結するという意味で、目の離せない展示会になっています。 当社のガラスびんをお使いのお客様の中には毎年出展され、常連となっている会社もあって、私も3年ほど前から毎年お邪魔しています。 今回は東北、北海道で猛威を振るった台風10号による被害からまだ日が浅いことから、予定通り出展されているのか心配だったお客様もありましたが、 皆さん大きな被害もなく元気なお顔を拝見することができ、ほっとしたところです。
顔なじみのお客様とお話していたところ、お隣のブースから突然声を掛けられました。 鹿児島で製茶業を営んでいる方ですが、塩も扱っており、現在袋で展開している製品を、今度ガラスびんに入れて発売したいとのこと。 早速九州一円で展開されている某問屋さんをご紹介したところ、その晩「早速のご対応ありがとうございます。 問屋様よりお電話をいただきました」とのお礼のメールが届きました。ご紹介した問屋様の素早い対応に感謝するとともに、 こうした新しい出会いがあるのも展示会の醍醐味だと改めて感じました。
北海道の白亜ダイシン様は、各種展示会に積極的に出展されています。あちらこちらでお会いするうちに、 五十嵐常務とはすっかり顔なじみになりました。今回ももちろん出展されており、当社の製品に入った新製品を最前列に並べていただいていました。 「びんの形状も含め大変評判が良いので、積極的に売っていきます」という、うれしいコメントも頂きました。
七島 徹
2016.09.13
柏洋通信Vol.26
【3回目の色替えを実施しました。】(9/13)
今回は白から茶への色替えになります。色替えも3回目を迎え、白から茶へは2月に一度経験しているとはいえ、関係者とは時間の大幅な短縮など性急な試みは行わないことを改めて確認しました。 一度に多くの変更を加えると、仮に問題が発生した場合、原因の究明に困難を来すことになります。これは例えうまくいった事象であっても同じことです。 どのような場合でも、想定外は失敗と認識しなければなりません。我々にとって、結果オーライなど存在しないのですから。
8月24日の17時より、色替えのために調合された原料の投入が始まりました。翌25日には早くも色調に変化が認められ、9時頃には生産を止め、ガラス素地を流す作業に移りました。 その後計画の則り、徐々に原料を茶本来の調合比に移行していきました。28日には比重、アルカリ溶出量、色調などが規定値に収まるところまで来ました。 そこで翌29日より、まず一本のラインで生産を開始。外部の専門機関に出していたガラスの組成分析の結果を待って、2本目のラインでも生産が始まりました。 そして翌30日には3本目のラインで生産が再開され、工場は6日ぶりフル稼働に戻りました。
今回は前回、前々回には経験しなかった事態も発生するなど、まだまだ色替え毎に遭遇する課題は異なります。 お客様の信頼にこたえるため、今回の課題を徹底的に分析し、次回の色替えに備えます。
七島 徹
2016.09.03
柏洋通信Vol.25
【第56期キックオフミーティングを開催しました。】(9/3)
第56期のスタートに当り、8月27日にキックオフミーティング開催しました。
当社のような溶解炉を持つ業態では、交代勤務制が不可欠です。その結果として全社員が一堂に会することは事実上不可能です。 全員が集まるためには操業を停止するしかありませんが、それでも溶解炉の火は消すことができないことから、最小限とはいえ保安要員が必要です。今回は25日から始まった色替えの最中ということもあって、生産は休止していることから9割程度の従業員が出席することができました。 それでも色替えのために流れ出るガラス素地を処理する役割と、溶解炉の保安・監視業務に従事する十数名には会社に残ってもらわなければなりませんでした。彼らに対して会社を代表して、改めてこの場で感謝の意を表したいと思います。
さて、キックオフミーティングは1部と2部の構成です。1部は私を含む幹部社員が前期の振り返り、今期56期の目標を発表しました。 またQC活動、永年勤続者、改善提案活動の表彰式を執り行いました。今回私は「クレームの根絶と2%の改善で、持続的な成長を勝ち取ろう」と題して30分程話をしました。前期は窯修を行い、さらに白から茶、茶から白への色替えを、まだまだ改善すべき点は多いといえども、成功裏に終わらすことができました。 第55期は当社にとって大きな転換期となり、将来に向け得るものはすこぶる多かったと考えています。しかしながら、決して順風満帆ではなかったことも確かです。私は「良かった点と悪かった点が交錯した1年」であったと総括しました。第56期のスタートに当り、クレームを根絶してお客様の信頼を強固なものとし、持続的な成長を確実なものにするために、 営業も工場もそれぞれの持ち場で2%の改善に取り組むことを、全員で確認しました。
こうして1部は終了し、会場を移して2部の労働組合主催の懇親会へと進みます。先ほども述べた通り、4直3交代勤務制をとる当社では、所属する班によっては事実上お互いに顔を合わせることのできない人たちが存在します。 そのため、今回のように従業員が一堂に会するイベントは、経営上は問題があるとはいえ、従業員同士の交流を深める上でなくてはならない機会だと考えています。乾杯のあいさつもそこそこに、ビール片手に次々とテーブルを回る人がいます。 たちまちあちらこちらで人の輪ができ、普段は遠く離れた本社の人間も、躊躇なくその輪に加わります。 カラオケに合わせて手拍子が始まり、いつしかそこに大勢の歌声が重なります。予定していた2時間はあっという間に過ぎ、一本締めでめでたく大団円を迎えました。
七島 徹
2016.08.12
柏洋通信Vol.24
【8/10第56期がスタートしました。】(8/12)
7月31日をもって当社は第55期を終了し、8月1日から第56期がスタートしました。 当社の歴史も新たに56年目を迎えたことになります。前期の第55期は第一工場の窯修を経て、従来の二窯体制から色替えを伴う一窯体制に変わりました。 これは数年前から進めてきた3本の生産ラインを150名で運営する、社内では「3・150プラン」と呼んでいる計画の集大成となるものと考えています。 効率的な経営をとことん突き詰めていく過程でこの形に行き着いたことは、既に柏洋通信VOL1でご紹介した通りです。
さて、第55期は一窯体制の下で茶から白、白から茶へと2回の色替えを実行に移し、当社にとって計り知れない大きな経験を積んだ期でした。 色替えについてはまだまだ改善すべき課題は多いといえども、取りあえず現時点では成功裏に終えることができたと考えています。 業界内でも注目集めたこの事業に一定の目処をつけたことは、当社の技術力や人材力が、他社に比べて決して劣っていない証拠だと考えます。
一方でお客様の期待にきちんと応えられたかと問われれば、残念ながら疑問を呈さずにはいられません。納期や品質の面でご迷惑をお掛けしたことは否めない事実として、我々は真摯に受け止めなければなりません。第56期はいくつかの課題を持ちこしてのスタートとなりました。 明確になった課題を一つひとつつぶしていくことが、お客様の信頼を勝ち得る唯一の手段だと考えます。 一人ひとりがお客様の方向に視線を合わせ、役割と責任を全うしていきます。
七島 徹
2016.08.08
柏洋通信Vol.23
【7/26福島工業高校 校内企業説明会に行ってきました。】(8/8)
大学生の就職活動は早くも終盤戦を迎えようとしていますが、高校生のそれは正にスタートしたばかり。 夏休みといえども就職を志す高校3年生にはほとんど休みらしい休みはなく、猛暑の真っ只中、就職に関する様々な行事が目白押しです。
さて、県内の高校が一斉に夏休みに入った丁度その日、福島工業高等学校で企業説明会が開催されました。私も採用担当者と二人で昨年に続いて参加しました。ご多分に漏れず、当社もここ数年は慢性的な人手不足で悩んでいます。 昨年は何とか高校生の新卒を3名採用することができましたが、今年も厳しい状況が予想されます。今回は県内外からネームバリューの高い大手企業から、我々のような地元中小企業に至るまで、昨年を上回る総勢58社が集結。 午前と午後に分かれて生徒たちに、自社の魅力を懸命にアピールします。
当社は午前組です。まず講堂で生徒と企業を前にして、校長先生のご挨拶に続き就職担当の先生から説明会の注意点などのお話がありました。 その後企業は指定された教室に分かれ、自社のブースで生徒たちを待ちます。その間に各社は会社案内や製品サンプルを並べたり、ビデオの準備に余念がありません。 お隣の会社はプロジェクターまで持ち込んで、既に臨戦態勢に入っています。お互い生徒を争奪するライバル同士ですから、一見和やかな雰囲気の中にも緊張感が漂います。
いよいよスタートです。説明に費やせる時間は1回30分×3セットでトータル90分。 生徒たちは午前3社、午後3社に絞り込み、志望する会社のブースに赴き説明を聞くことができます。第一回目は「よろしくお願いします」の声とともに、3名が当社のブースに来てくれました。 その後の2回目は4名、そして最後の3回目には5名、総勢12名の生徒たちと話をすることができました。
今ガラスびんから最も遠い場所にいるのが、彼ら高校生だと感じています。彼らが日常的に利用するコンビニにでは、お酒や栄養ドリンクを除くとガラスびんに入った商品は皆無と言っても良いほどです。 そんな彼らにガラスびんの魅力や可能性を伝えるには、何を語れば良いのか、これは難問です。リサイクル性の高さや、内容物の品質を保持する力は他の素材の容器より優れていることはもちろんです。 が、今回はそれ以上に、ヨーロッパのような文化的に成熟した社会にはガラスびんが良く似合うし、日本もこれから同じような道を歩んでいくのだということを強調しました。 そして、容器自体で内容物の価値を高めることができるのは、唯一ガラスびんだけの特筆すべき力であるとも語りました。そして最後に語ったことは、廃棄された後のことです。原料の70%以上がカレット(屑ガラス)として再利用されていることとは別に、単に捨ててしまった場合はどのようなことになるのか。 これは決してやってはいけないことですが、仮に海岸でガラスびんを投棄したとすると、どうなるのでしょうか。 潮の満ち干によって次第に細かく砕かれ角も丸くなり、やがて最後には砂に戻っていきます。 原料は全て天然素材ですから全くの無害です。カリフォルニアにはかつてのゴミ捨て場が、今では美しいグラスビーチに変貌しているところもあるほどです。 昨今海洋を漂う大量のマイクロプラスチックが問題視されていることを考えると、これはガラスびんにとって大きなアドバンテージなると考えるのですが。
企業説明会はこれから幾つも開催されますが、こうした地道な主張を繰り返すことで、将来当社を担う新たな戦力を迎えることができれば望外の喜びです。
七島 徹




